クラウドファンディングは、インターネットを活用した新たな投資のスタイルです。株式や不動産への投資にハードルの高さを感じていた方にとって、クラウドファンディングは投資をより身近な存在にしてくれました。
クラウドファンディングについての基本的な仕組みと、今注目の不動産クラウドファンディングについて詳しく説明します。
さまざまな種類のあるクラウドファンディングから、最適な投資先を見つけてくださいね。
そもそもクラウドファンディングとはなにか
クラウドファンディングとは「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。インターネットの普及に伴い、新たな資金調達方法や投資の手段として登場しました。
資金調達や投資を身近なものにした、クラウドファンディングの特徴と分類について詳しくご紹介します。
不特定多数からの資金調達方法
インターネットを使って不特定多数の投資家から少しずつ資金を募る資金調達方法が、クラウドファンディングです。自分が始めたいビジネスや活動を、インターネットを通じて発信し、ビジョンや事業計画に共感した幅広い投資家から資金を集めます。
従来の資金調達方法は、金融機関からの借り入れや、ベンチャーキャピタル(VC)と呼ばれる投資会社からの出資など、特定の機関から調達するスタイルが主流でした。
しかし、クラウドファンディングによって、インターネット上で幅広い投資家に出資を呼びかけられるようになり、従来よりもスピーディな資金調達が可能となりました。
また、従来では資金調達が難しかった新規事業や規模の小さい事業においても、クラウドファンディングであれば資金を集めることができます。
クラウドファンディングの分類は多種多様
クラウドファンディングは「非投資型」と「投資型」の2種類があり、さらに、それぞれ3つのタイプに分かれています。
非投資型クラウドファンディングの多くは、金銭的なリターンは得られません。商品やサービスがリターンとして用意されています。「寄付型」「購入型」や、なじみのある「ふるさと納税型」などが、代表的な非投資型クラウドファンディングです。
一方、投資型クラウドファンディングでは「投資」という名の通り、金銭的なリターンが見込めます。「株式型」や「融資型」のほか、不動産投資を目的とした「不動産クラウドファンディング」を含む「ファンド型」などが、投資型クラウドファンディングです。
身近な非投資型クラウドファンディング
非投資型クラウドファンディングは、比較的身近なクラウドファンディングです。おもに「寄付型」「ふるさと納税型」「購入型」の3種類があります。
非投資型クラウドファンディングは、特性的に金銭的なリターンは見込めません。商品やサービスをリターンとして受け取るのが一般的です。
また、リターンそのものがないプロジェクトもあります。非投資型クラウドファンディングに参加する際は、プロジェクトの趣旨を理解してから資金を投入する先を選ぶことが大切です。
寄付型
寄付型クラウドファンディングは環境問題や被災地の支援など、社会貢献性が高いプロジェクトに多く利用されています。
寄付金を集めるために、従来は個別に活動をおこなう必要がありましたが、クラウドファンディングによって幅広く寄付を募ることができるようになりました。
寄付型クラウドファンディングは、資金調達によって利益を出すことが目的ではなく、社会課題の解決に支援者が寄付という形で貢献する方法です。
そのため、ほとんどのプロジェクトでリターンは発生しません。活動報告やお礼の手紙を受け取ることが一般的です。
ふるさと納税型
ふるさと納税型クラウドファンディングは、地域が抱える問題を解決する目的で、自治体が認めた個人や団体が出資を募ります。
単なる「ふるさと納税」と異なるのは、寄付金の使途が明確でプロジェクトごとに募集期間や目標金額が設定されている点です。また、地域を応援することがおもな目的なので、返礼品が用意されていないプロジェクトも多数あります。
一方で返礼品を用意しているプロジェクトもあり、いずれにしても寄付金の控除を受けられる点はふるさと納税と同様の大きなメリットです。
購入型
購入型クラウドファンディングは、商品やサービスなどの立ち上げ時に多く利用されています。出資額に応じて、商品やサービスをリターンとして受け取る仕組みのため、支援者は商品を購入する感覚で出資できるのが特徴です。
購入型クラウドファンディングには2種類の形式があります。目標金額に達成できなくてもプロジェクトが成立する「All-in方式」と、金額達成ができなかったらプロジェクトは不成立となり全額返金される「All-or-Nothing方式」です。
代表的な投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングは、投資の新しい形として注目を集めています。注目されている理由の1つが、まとまったお金がなくても手軽に投資をはじめられる点です。
投資型クラウドファンディングは、大きく「株式型」「融資型」「ファンド型」の3種類に分類されます。
求めるリターンや予算に合わせて、最適な投資先を見つけることが重要です。それぞれの特徴について詳しくご紹介します。
株式型
株式型クラウドファンディングは、ベンチャー企業や中小企業などの未上場企業でも非公開株の提供で資金調達をするシステムです。
投資会社を利用して公開株を取引する従来の方法とは異なり、株式型クラウドファンディングによって投資家は未公開株を直接取得することが可能になりました。
ただし、年間の取引金額には制限があり、企業側の調達金額は1億円未満、投資家の出資額は1社につき50万円以下となっています。
融資型
融資型クラウドファンディングは「ソーシャルレンディング」「貸付型クラウドファンディング」とも呼ばれています。融資型クラウドファンディングは、資産運用の手間がかからず「株式型」と比べても安定的なリターンを得られるのが特徴です。
融資型クラウドファンディングでは、事業者が貸付の原資を広く募り、その資金を企業や個人に貸し付けます。貸付金の回収は、利息も含めて事業者がおこなうので、出資者の手間はかかりません。
ファンド型
ファンド型クラウドファンディングは、企業がおこなう資金調達方法です。株式型クラウドファンディングと違い、会社全体ではなく、プロジェクト単位で出資ができます。
また、不動産投資の手法である「不動産クラウドファンディング」も、ファンド型クラウドファンディングの1つです。不動産クラウドファンディングでは、投資先の詳細を確認できるため、適切な投資判断につながるメリットがあります。
不動産投資のデメリットをカバーする不動産クラウドファンディング
一般的に不動産投資をする際は、ローンや自己資金で物件を所有するか、J-REITといった投資信託商品を購入します。しかし、1人の資金で不動産物件を所有する場合は、まとまった初期費用が必要です。一方で、投資信託の場合は投資先物件を直接選べません。
不動産クラウドファンディングは、これまでの一般的な不動産投資のデメリットをカバーする投資方法です。少額からはじめられるうえに、投資先物件を直接選べるので、事前に具体的なリスク判断ができます。不動産クラウドファンディングの特徴を詳しくみていきましょう。
不動産クラウドファンディングの仕組み
不動産クラウドファンディングは、特定の不動産物件を複数の出資者で共同所有し、家賃収入や売却益を分配する仕組みです。1物件を1人で所有するわけではないので、少額から出資が可能で、利益だけではなくリスクも出資者に分散されます。
また、不動産クラウドファンディングの手続きや取引は、全てインターネットで完結できるため、忙しい生活のなかでも手軽に始められるのも特徴です。
投資費用をおさえられる
不動産クラウドファンディングへの投資は、1口1万円程度からできるケースがほとんどです。不動産へ直接投資をする場合は、多額の初期費用が必要な分リスクも大きくなりますが、不動産クラウドファンディングであれば無理のない範囲で始められます。
少額から始められる不動産投資としてJ-REITもありますが、J-REITでは具体的な投資先は選べません。不動産クラウドファンディングは手軽に始められ、投資先も自由に選択できる点が大きな魅力です。
優先劣後方式でリスクが少ない
「優先劣後方式」とは、不動産の運用損失リスクから投資家を守る仕組みです。万が一投資した物件の運用で損失が発生した場合、劣後出資者となるクラウドファンディング事業者の出資分が損失の補てんに当てられます。優先出資者となる投資家の損失を優先して補てんすることで、元本割れのリスクを低減できます。
優先劣後方式は、多くの不動産クラウドファンディングで採用されています。どの程度までの損失が補てんされるかは、運営会社の「劣後出資割合」を事前にご確認ください。
情報開示がしっかりとされているので安心
不動産クラウドファンディングは物件の情報がしっかりと開示されているので、安心して投資先を選べます。金融商品取引法と不動産特定共同事業法という、投資家を保護する2つの法律に基づいて運用されており、情報開示が運営会社に義務付けられているためです。
投資家は、投資物件の住所、築年数、施工会社のほか、運営会社の財務状況なども詳しく知ることができます。適切な投資判断をするためには、事前の情報分析が欠かせません。
【まとめ】投資型クラウドファンディングでリスクの少ない資産運用
インターネットを通じて不特定多数の人から資金調達をする投資型クラウドファンディングは、比較的リスクの少ない注目の資産運用方法です。
投資型クラウドファンディングにはいくつかの種類がありますが、不動産クラウドファンディングの登場によって、多額の初期費用が必要だった不動産投資の参入ハードルが下がりました。
不動産クラウドファンディングは、法律に基づいて運用されているしっかりとした資産運用方法の1つです。少額からはじめられるうえ、物件や運営会社の情報が開示されているので、投資前にリスク判断ができます。
また、不動産クラウドファンディングを始める際は、全てインターネット上で手続きが可能です。口座の開設だけであれば無料のサービスがほとんどなので、まずは自分に合う運営事業者を選び、口座開設をしてみてください。口座開設をすれば、詳しい仕組みや利回り、投資先などのより具体的な情報を得ることができますよ。